部下育成の5つのコツ
管理職の部下育成トレーナーの安部です。皆さん、部下を育成していますか?
部下を育成して、強い会社を創造しましょう!
本日から7回にわたり、部下育成の5つのコツと題してお話ししていきます。
このブログをお読みいただいている方は、すでに部下をお持ちの方、もしくは部下をこれから持つことになっている方と想定しています。部下育成をせざるを得ない方々です。
とにかく、あなたには一緒に働く人がいて、その方はあなたより経験が浅い、実力がない、ということであなたはその方に対して指示をする立場であるということですよね。
1.中小企業にはなかなか求人応募が来ない
現在(2018年)はとても人手不足と言われています。
求人倍率が高止まりのままです。こういう時は求人に応募が来ません。
日本の事業所の約99パーセントの企業が中小企業です。新卒採用の現場では、残り1パーセントの大企業に応募が集中し、ほとんどの中小企業には新卒の応募者が来ないというのが平常化しています。
現場は「人を増やして欲しい!」と叫んでいるのに、人事部からは「しばらくこのままで・・・」と言われるだけ。
「しばらく」はいつまででしょうか。
人事部だって必死に人集めをしています。でも、人がいないのです。
人・人・人・・・
受付の前には長い行列。職探しのためのパソコンは常に満席状態。
その時は3名ほど採用したいと求人票を出しに行ったのです。応募者は予想をはるかに超える25名。最初は全員面接をする予定でしたが、時間がなく、書類審査で半分にするしかありませんでした。
でも、最近のハローワークはガランとしています。
いるのはハローワークの職員だけ。こんな状況ですから、応募が来ないのも納得できます。
ただ、人手不足は深刻です。
私が行っているセミナーのアンケートで、希望するセミナー内容を取っているのですが、応募者が来る求人票の書き方セミナーを希望される方が増えています。
人手不足だと、当然一人の仕事の量が多く、残業が多々発生します。慢性的な残業が続く状況なのです。
働き方改革なんて国は言っているけど、目の前の現実は残業・残業・残業・・・
いつも忙しくて気がつくと外は真っ暗になっているのが当たり前。盛夏くらいは日があるうちに会社を出たいと考えてはいるけれど、会社を出る時はいつも真っ暗。
終電ギリギリまで仕事をして終わらなければ持ち帰りそれでも終わらない。
そうしているウチに、体調を崩して休職することになってしまう仕事ができる部下。
若い部下は他の会社の方が給料、高いんで~~と言いながら転職する。
増えていく仕事、減っていく人材
減った人材分、また、増えていく仕事
最悪のスパイラルが巻き起こります。
この悪循環を断ち切るのは残った人材が、1.2倍、作業効率を上げること。これしかありません。
しかも、楽しく、生き生きと。
そんなことができるのなら、すぐにやりたいよ。
でも、面倒なことならやらないよ。
これが、今のあなたの本音でしょう。
それは可能です。実際にそうなった企業さまはいらっしゃいます。
ただ、ちょっとだけ、考える時間を作ってください。
何を考えるのか、ということが、これからの核心です。
考えて行動する、これをしていただくことで部下育成の効果が出て、あなたの部下の作業効率は1.2倍となります。
効果は「明日出る」というほど急激には出ませんが、それでも最短で3カ月ほどで変化が始まります。
2.部下育成のメリット
さて、今いるメンバーでこの人手不足時代を何とか切り抜けるしかないのですが・・・今いるメンバーの顔ぶれを思い浮かべて、はあああっとため息をついたのでは?
そのため息、こんな想いではないですか?
「あんな奴、育てても育たないよなぁ」
「育てる時間なんて全くないよ~」
「育てるなんか面倒だ~」
「手間をかけて育てても辞めていくからな~」
部下育成は、手間かもしれませんが、大変なメリットがあります。
部下を育成すれば、業績がその分アップしていきます。
優秀な部下がたくさんいれば、その部署の業績は右肩上がりを続けられます。
部下があなたのように働くようになれば、今の2倍の労働力になるのですから、当然ですよね。
部下育成は業績が上がるというメリットがあります。
例えば・・・
大口顧客の契約を何のトラブルもなく獲得した
お客様からの口コミが2倍増で注文が殺到した
欠陥品率が今までの8割になり、作業の手戻り率もドンと下がった
事務のミスが2割減り、書類の再送回数が減った
などなど。
前半の例は売上増で、後半の例はコストダウンです。
部署によっては、担当する業務が異なりますので、両方の例を取り上げてみました。
でも、こうなりたいと思いますよね。
3.一人の生産効率を1.2倍にする方法
何といっても部下を育成するのが一番です。
ただ、どうやって育成するのか、それが問題なのです。
私自身、人材育成に関わった最初が、最初に入社した会社でOJTの教える側になった時。もうかれこれ30年前になります。
「どうやって教えればいいんですか?」
という私の質問に、当時の上司は
「今までやったことを教えればいいんだよ」
と答えました。
確かに今までやったことは教えます。
でも、「人に教える」ということは、そんな簡単じゃないと私はその時思いました。
言葉で言ってわかれば、教える人は不要です。本やマニュアルを渡して「読んで」と言えばすみます。
でも、世の中、そんな簡単に済んでいる現場はないと思います。
細かなコツ、考え方、全体的な作業の流れ、業務で関係する社内外の方々との連携方法……
教えなければならないことは多く、それを言葉だけで教えるのは無理があります。
「効果的な教え方」を知りたい
当時の私は強く思いました。
あれから30年、気がつけば人材育成の現場に存在している自分がいます。
人を教える技術についてちゃんと学問として教えているのは大学の教育学部だけ。
教育学部の学生は卒業すると学校の先生になります。
一般の会社にはほとんどいません。
ということは、一般の会社内に人を教える技術を体系的に知っている人はほとんどいない、ということです。
とても残念ですが。
かく言う私も教育学部卒ではありません。
だから、本当に経験から得たことが基盤であとから書籍や研修で習得した内容で
体系づけました。
ただ、大学の先生にもかなり教えていただきました。
だけど、先生方は研究の一環であるので、現場ではなかなか使えない手法である場合も多いのです。
手法の一つ一つが結構手間がかかるのです。
会社の現場では部下育成に時間がかけられません。
理由は2つ。
1)主業務を行うことが会社の目的であること
2)部下育成の専門職がいないこと
主業務を行う時間を割いて部下の育成を行わなければならない中小企業の管理職には、部下に対して充分な知識がない上で主業務の合間に育成することをしなければなりません。
しかも、早く成果を出さなければなりません。
主業務は待ってくれませんから。
一刻も早く育成の成果を出して主業務を担っていく人材にならなければ会社は、部署は成り立ちません。
ましてや、企業では従業員を採用する際、学力テストなんてしません。
偏差値の高い大学のように最初から選別された人だけの集まりではないというのが企業の人材です。
バラバラなレベルの人材で一刻も早い成果が求められているというのが人材育成の現場なのです。
人材育成や人事考課などの専門的なWebサイトを見ると
「結構偏差値高い大学から採用した従業員しかいない大企業がベースですよね……」
と言いたくなるような記事が多いです。
中小企業では高卒・中卒だっています。中途採用者だっています。中途採用者はそれこそいろいろなレベルの方がいます。
こんな部下育成の課題をクリアにするにはやはり上司であるあなたが教え方をマスターして、日常の主業務の中で部下育成をしていくのが一番効率的ですし、効果的です。
このブログでは部下育成のための5つのポイントをひとつずつご紹介していきます。
部下育成のための5つのポイント
ポイント1
スキルには種類がある。
現在の業務を完遂させるためのスキルを
明確にしておく必要がある
ポイント2
部下のモチベーションの源泉を知り
足りないスキルに気づかせること
ポイント3
やらせること。
失敗しても結果は叱っても
プロセスは認めること
ポイント4
ワンステップが完了したら
フォローは段階に応じて減らしていく
ポイント5
優秀な部下には
経験値を積ませること
ぜひ、この機会に部下育成をマスターしてください。
ところで、人材育成の形式として3種類あるのをご存知でしょうか。
わざわざ言う必要もないくらい当たり前の話です。
1)Off-JT
職場から離れた場所(会議室等を含む)で講師から研修を受ける形式です。通常の学校のようなものと思ってください。
2)OJT
職場内で上司や先輩が行う研修の形式です。
3)自己啓発
自分で勉強することです。
ただ、自己啓発をしていると知らないことは知らないままになる可能性が高いです。知識や技能が偏ってしまう傾向にあるのです。
仕事のための自己啓発もできれば上司であるあなたがエスコートしてやる方が効率的なのです。
このブログをお読みいただいている方々は、中小企業の従業員であり、部下を持つ中間管理職、もしくは、後輩を持つ先輩です。
部下や後輩はさまざまな学歴の持ち主です。
でも、忘れてはならないのは、彼らは一緒に働く仲間であることなのです。
一緒に働いて
一緒に業績を上げていって
一緒に会社に貢献していく
そんな仲間であること
これが、とても重要なことだと私は考えています。
次回は、「できる部下とはどんな人材か」というテーマです。
それでは、今日はこの辺で。