部下を優秀な人材にする教え方講座

部下が優秀だったら・・・そう考えない管理職はおそらくいないでしょう。でも、優秀にする方法がわからない・・・それは、「教え方」を知らないからです。「教え方」は学校では学びません。学んだ方は教育学部でほとんどが学校の先生になります。だから一般企業では「教え方」を学んだ人はほとんどいないのです。さまざまな部下育成法が世の中に出回っているからこそ、オーソドックスだけど着実な手法をブログに書き綴ります。

コツ2:今眼前の部下はどんな部下か

管理職の部下育成トレーナーの安部です。

皆さん、部下を育成していますか?

 

部下を育成して、強い会社を創造しましょう!

 

今回は部下育成のための5つのポイントの

2つ目のポイントをお話しします。

 

ポイント2

部下のモチベーションの源泉を知り

足りないスキルに気づかせること

 

ぜひ、お読みいただき、

ご自身の部署で役立てていただければ幸いです。

 

 

前回はできる部下に

どんなスキルがあれば良いのか

についてお話しました。

 

本日は眼前にいる部下はどんな部下なのか、

ということについてお話します。

 

課題解決で良く言われる

現状と理想のギャップが課題である

ということから 

本日は「部下の現状の分析」です。

 

1.どんなスキルが足りていないのか

 

あなたの中にある「できる部下」が持つスキル群を記述した後だと

今、目の前で仕事をしている部下のスキルのなさが

目についてしまうかもしれません。

 

が、そこはグッと冷静に観察する必要があります。

 

私には昔、こんな苦い経験をしました。

 

私の昔の部下の話です。

 

私には理想とする部下像がありました。

 

ただ、その当時の部下はその理想とする部下像から大きくかけ離れていました。

特に業務で一番にマスターして欲しい部分が本当にできないのです。

 

いろんな方法を取って教えましたし、何度も何度も注意しました。

 

その方に業務を任せる時は心配で落ち着かず、

「チェックするから後で必ず見せて」

ということにしていました。

 

ただ、私自身も別の業務を抱えており、

その部下一人のためにさける時間は限られていました。

 

だからこそ、常にイライラした状態で、その部下に対して

「できていない」を連発していたのです。

 

ところが、そんなある日。

他の部署の同僚から

「○○さん、××のスキル、すごいね」

と言われたのです。

 

その時、私はハッと気づかされました。

 

私もその部下が指摘されたスキルは、

とても素晴らしいと常々思っていました。

 

特に××のスキルはずば抜けており、

社内でトップレベルを持っていたと私は思っています。

 

でも、私はずっと××のスキルではなく異なる部分で、

この部下に注意し続けていたのです。

 

部下の〇〇にとって本来××ができれば社内外では十分だったのに、

他の部分がダメだと指摘し続けてきたのです。

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人間ですから、

必ず良いところと悪いところがあります。

 

部下のスキルを検証する時、

どうしても「できない」部分に目が行きます。

 

スキル一覧を目にしながら

「あー、あいつは○○ができてない。

××もできてないな。

そういえば、△△もまだまだ。

あ、□□だって……」

 

そして、結局、

「ウチの部下どもは何にもできてないじゃん!」

ということになります。

 

本当にそうでしょうか?

 

あなたが一覧にしたスキルの方が

いらないスキルなのでは?

 

先ほどの事例には後日談があります。

 

「できない部下」と思っていた部下が

どうしてもできなかった業務を

他の人に手伝ってもらうようにしたのです。

 

すると

その部下は自分の実力を最大限に発揮できる

スキルのみに集中することができ

生産性がグンと上ったのです。

 

重要なことなので、

もう一度言います。

 

得意なスキルに集中させる環境を与えただけで

生産性がグンと上ったのです。

 

これはどういうことでしょうか。

 

その部下は、自分の得意なスキルに対して

自信がありました。

 

苦手な業務から解放され、

自分の責任が軽くなったこと。

 

それを上司である私が承認したこと。

 

これらはその部下の

モチベーションを高めたのです。

 

人にはモチベーションを高める

ポイントがあります。

 

そのポイントを把握することで

育成効果をアップさせることができます。

 

効果を上げるためにも

部下のモチベーションを高めるポイントを

把握しておくことが先決です。

 

別に部下をおだてるわけではありません。

 

今までの業務の中で

部下が夢中で業務に取り組んだ場面を

思い出し、

 

夢中になった要因をつかむのです。

 

人はモチベーションを高めるポイントを

必ず持っています。

 

人から褒められたり認められたりすると

俄然はり切る人。

 

コツコツ努力して成果が出ると

満足げになる人。

 

人に感謝されると

嬉しい表情をする人。

 

親しい仲間と一緒に頑張ることが

とても楽しい人。

 

こんな風景を思い出しながら

目の前の部下が

どんな時に頑張っていたか、

 

その時、どんなきっかけがあったのか

をつかんでいきます。

 

ちなみに私の部下は、

ほめられると非常にはり切るタイプでした。

 

2.研修すれば良いというのは神話でしかない

 

部下のスキルが足りない。

 

上司であるあなたはそう思っているかもしれません。

 

スキルが足りなければ

対策として何らかの研修を行うことです。

 

研修をすると何らかのスキルは身につきます。

 

しかし、

お気づきだと思いますが、

研修の内容には3つの種類があります。

 

一つは、「知識」。

 

業務を遂行するために必要な知識や

汎用的な技能(メールの出し方や

報告・相談・連絡などの行い方など)

を身につけます。

 

二つ目は、「技術」。

 

例えば、金属加工であれば「研磨」など

他の業種ではあまり使われていない技能を含め

多種多様な技術があります。

 

それらを習得し、

会社内での業務がこなせるようになるための

技術の習得です。

 

これらはお判りだと思いますが、

知識と異なり、

習得に時間がかかります。

 

三つ目は、「態度」。

 

先輩の話を素直に聞く、

お客様には笑顔で対応する、

始業時間に遅刻しない、

マジメに業務の取り組む(サボらない)、

 

といった社会人として必要な

振舞いを中心とした態度です。

 

このあたりは、「性格」と関係するため、

非常に習得が難しいものでもあります。

 

でも、営業マンが外回りの時に

サボってばかりだと困ります。

 

会社の人材育成とは異なりますが、

家庭内の子育ての、

ほとんどがこの「態度」です。

 

だからといって「態度」の習得は家庭で、

と言っても、

 

すでにあなたの目の前の部下は

社会人であり、

通常保護者の庇護からは外れています。

 

それに、

あなたが担当する「態度」は

社会人として必要な部分であるため、

あなたの会社が育てる必要があります。

 

以前、こんな相談を受けたことがあります。

 

「報告はちゃんとしてくるんだよねぇ。

でも、報告のタイミングが

どっかずれているんだ」

 

上司が少し気になっている案件で

進捗具合を聞きたい時には

「問題はありません」

と返事をし、

 

問題がどうしようもなくなってから

「報告です」

と言ってくる部下。

 

報告することはできているので、

これは「知識」でも「技術」でもなく

「態度」なのです。

 

報告するタイミングをわからせたい、

ということなのです。

 

さて、どのようにすれば良いでしょうか。

 

部下のレベルにもよりますが、

一つ、ヒントとして、

上司が報告して欲しいと思うタイミングは

いつなのでしょうか、

ということです。

 

そのタイミングを部下が知っているかどうか、

ということ。

 

案件をその部下に任せる時、

こう言っていませんか?

「何かあったら報告しろ」

と。

 

だから、何かあった時しか報告しないのです。

 

部下にすべて任せるには少し不安な時、

報告させる時期を明確化させておくのです。

 

例えば、

「何もなくても○日後の朝一番に

状況を定期報告しろ」

と。

 

 

態度は

こうやって徐々にトレーニングしていき、

身につけさせていきます。

 

そして、何も言わなくても

「定期報告」してくれるようになります。

 

定期報告がウザイと思うほど

部下が成長してきたのであれば、

定期報告の期間を徐々に

伸ばしていくのです。

 

その時には、

「判断に少しでも悩むことがあれば、

報告しろ」

と。

 

間違いのもとは判断ミスであることが多いので、

報告のタイミングをずらしても大丈夫と判断できた

部下には、不定期にする際、

判断するタイミングで報告させるようにするのです。

 

態度は、

このように何度も何度も繰り返して

できるようにしていくのです。

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そして、

態度に関して言えば、

本人の「気づき」がないと

変化しません。

 

好ましくない態度を好ましい態度に

変容させるためには、

態度を行う本人が

「今のままではダメだ」

ということに気づくことが第一歩です。

 

そうでなければ、

どんなに回りが教えても

身につきません。

 

周りの言葉は

その本人とって

すべて「他人ごと」なのです。

 

「自分ごと」

にしなければ、動かないのです。

 

だから、部下本人には

上司であるあなたが

「今のままでは困るから、

○○できるようになってほしい」

と伝える必要があります。

 

そのために、

昨日のスキル一覧が役立つのです。

○○の部分がスキル一覧から

抜き出してきます。

 

3.人間は自分が一番わからない

 

少し話は変わりますが、

研修に携わるようになって20年。

さまざまな受講者の方と話をする

機会がありました。

 

研修を行う前に

良くと言っていいほど

尋ねられる質問があります。

 

「私に○○ができるようになりますか?」

 

私は、いつも回答に詰まります。

 

その方を数十年知った人間であっても、

生まれてからずっとその方を

○○ができるようになるのかを

観察し続けてきているわけではないので、

 

できるかどうかは(私には)わからない

 

というのが回答なのです。

 

現実は、もっと丁寧な言葉で

回答することをお断りしますが、

 

本当に同様の質問が多いのです。

 

それだけ、

自分のことがわからない人が

たくさんいるんだろうなぁ、

と思っています。

 

自分のことを知りたい、

と思う人も含めて。

 

あなたの目の前にいる部下の方は

どうでしょうか?

 

自分のことが

良くわかっていると思いますか?

 

自分のことが良くわかれば、

会社のため

部署のため、

ひいては自分自身のためにも

自己啓発を始めるでしょう。

 

でも、

人はどうしても

自分の「できていない」ところを

見つけるのが苦手です。

 

また、

「自分ができる」ところも

見つけられない人も多くいます。

 

本当の意味で

自分自身を成長させるには

どうしても他人の力が必要なのです。

 

「根性で何とかしろ」

 

と言われても

自分一人ではどうしようもないのです。

 

だからこそ、

上司と部下で

あるいは、

先輩と後輩で、

 

そして、可能なら

チーム全体で、

 

できていること

できていないこと

これからできるようになって欲しいこと

 

こういったことを確認しあうことが

大事なのです。

 

そうすることが

人材育成の2番目のステップなのです。

 

それでは、今日はこの辺で。