部下を優秀な人材にする教え方講座

部下が優秀だったら・・・そう考えない管理職はおそらくいないでしょう。でも、優秀にする方法がわからない・・・それは、「教え方」を知らないからです。「教え方」は学校では学びません。学んだ方は教育学部でほとんどが学校の先生になります。だから一般企業では「教え方」を学んだ人はほとんどいないのです。さまざまな部下育成法が世の中に出回っているからこそ、オーソドックスだけど着実な手法をブログに書き綴ります。

コツ5:もともと優秀な部下の育成法

管理職の部下育成トレーナーの安部です。皆さん、部下を育成していますか?

部下を育成して、強い会社を創造しましょう!

 

 

 

本日は部下育成のための5つのポイントの

5つ目のポイントをお話しします。

 

ポイント5

優秀な部下には

経験値を積ませること

 

 

今日のテーマは

おそらく誰も取り上げないであろう

テーマです。

 

だって、優秀なんだから

育成する必要はないだろう、

と思っている人がたくさんいるからです。

 

優秀だから育成しなくても大丈夫なのでしょうか?

 

確かに勝手に育っていく

イメージが強いかもしれません。

 

でも、そこが落とし穴なのです。

 

現に、

優秀な社員がたくさん集まったであろう

大企業の不祥事が

ここのところ続いています。

 

大企業といえども経営の安定からは

離れつつある会社もあります。

 

優秀な人材も育成しなければ、

とんでもないことになるのです。

 

1.たまにいる優秀な人材

長年、企業の中途採用の窓口にいたので、

数年に一度現れる

とんでもなく優秀な人材がいることに

気づいていました。

 

周囲は「優秀とは思えない」と反対する人もいました。

 

だって、その当時の私の会社は

ほとんどが大卒の会社だったのです。

 

そして、彼らの半分が高卒だったからです。

 

でも、とにかく採用して欲しい、

と訴えて採用した結果、

彼ら全員がすぐにリーダー格になりました。

 

はっきり言います。

 

優秀な人材と学歴は全く関係ありません。

 

たまたま経済的な事情で

大学に行けなかった、高校に行けなかった

というだけです。

 

もちろん優秀な人材であっても、

有名大学に入らなければ

有名な大企業に入ることはできません。

 

労働市場にそういった人材が

高卒だから、中卒だから、

という理由で現れるので、

中小企業はそういった人材を

確保することができます。

 

ただし、数年に一度ペースです。

2~3年くらいのペースでしょうか。

 

もちろん、そういう方々が応募にきてくれるよう

ちゃんとした準備をしておく必要があります。

 

かなり言い方が悪いですが、

良い「置き網」を置いておく必要があります。

 

このあたりはこのブログの本筋とは

異なりますので、この辺にしておきますね。

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そうしてやってきた優秀な人材。

 

今まで部下に超偏差値が高い大学卒の人もいましたし、

地元の普通レベルの高卒もいました。

 

でも、優秀な人材は、

有名大学を卒業していなくても

優秀なのです。

 

さて、私が言う優秀な人材とは

どんな人材でしょうか。

 

私の前の会社は技術系の会社でしたので、

優秀な人材の定義は次のようなものでした。

 

・会社の事業の中心となる技術に好奇心を持っている

・技術を習得することに喜びを持っている

・自分なりの学び方を知っている

 

基本的に技術系の会社への志望動機に

ほぼ9割の方が

「○○が好きだから」

と書いています。

 

IT企業でしたので、志望動機欄に

「パソコンが好きだから・・・」

と書かれているのです。

 

もっとも嫌いだったら志望しないよね、

というのが私の感想です。

 

好きなのはわかったけど、

好きさ加減がどれくらいなのか、

ということを確かめます。

 

人は好きだったら

その技術をもっと知りたいと感じるはずです。

 

優秀な人材はここからはっきりと

他の人との違いが出てきます。

 

知りたいと感じたから

とにかくどんな手法を使ってでも

知ろうと努力しています。

 

自分で努力して学ぼうとしているのです。

 

しかも、優秀な人材ほど

効果的な方法で。

 

よくいる人は、

「○○が好きなので、

もっとも学ばせていただこうと思い

御社を希望しました」

と言います。

 

でも、優秀な人は

「○○が好きなので、

××をしてみました。

そうすると……という結果になり、

更に学びたいと感じました。

ただ、個人では限界があります。

そこで、現場で技術をもっと深めたいと考え、

志望しました」

と言います。

 

もう自分の好奇心を抑えきれずに

行動してしまっている優秀な人たち。

 

そして、試行錯誤を重ねて、

自分にあった学び方を会得しており、

自分で努力した後の学びに喜びがあることを

知っています。

 

更に、彼らは

技術のことを話す時に

目がキラッキラしているのです。

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もちろん技術以外の職の採用でも

同様だと私は考えています。

 

販売業であれば、

自分でディスプレイした商品が売れると

非常に喜びを感じるから、

といった人材。

 

そのためにどのようにすれば

商品が売れるのかを研究し続けている……

 

ある意味、

とんがった人材です。

 

でも、一つのことにとんがると、

実はそこから横にスキルを広げていくように

人はできています。

 

つまり、深いけれど

幅の広いスキルを持つ

人材ができやすくなるのです。

 

こういった人材は

採用後、少し放っておいても

自分でモチベーションを保つことができますし、

スキルも自分で勝手に身につけていくので、

何も育成する必要がないように思えます。

 

ですが、このような人材にも

天敵がいるのです。

 

2.優秀な人材は厳密な管理を嫌う?

優秀な人材の天敵は

強力な管理者です。

 

○○は××しなければならない

 

といった話し方をする方々です。

 

管理職に多いタイプです。

 

強力な管理者は、

管理職になると絶大な能力を発揮します。

 

請け負った業務では

絶対に間違いを起こすことがありません。

 

成果物の品質は非常に優れています。

部下も着実に業務をこなしていきます。

 

問題を起こすことなく

確実に業務をこなすスキルは

とても素晴らしいスキルです。

 

なので、社内での評価も高く、

非常に優秀な人材としてみなされます。

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ただ、私が言う優秀な人材にとっては

本当に天敵なのです。

 

私が優秀な人材だと思った人材が、

そういった強力な管理者の下に配属されると

途端に目のキラッキラが

生気を失ってきます。

 

そして、数年が経つ頃には

普通の人材になるのです。

 

そういった人材を何人も見てきました。

 

たまたま

管理者がルーズな人の下に配属されると

いつの間にかその人材が

優秀な管理者になっているのです。

 

日本でも有名な大企業を考えてみます。

 

有名な大企業は、

有名な大学の優秀な学生を多く採用します。

 

ですが、採用された優秀な人材の多くが

組織に呑み込まれていき、

他の方と変わらない人材になることが多いのです。

 

だからこそ、

最近の大企業の不祥事は

減るどころか増える傾向にあるのです。

 

だからといって

優秀な人材は自由にさせておくのが良いのか、

というのは別問題です。

 

彼らは自分で課題を見つけ

自分で解決しようとします。

 

ただ、解決できるスキルを持っていません。

 

だからこそ、上司や先輩であるあなたの力が

絶対に必要なのです。

 

彼らの育て方は

前回の「任せ方」の方法が

適していると考えています。

 

徹底的な管理をするのではなく、

ある程度任せながら、

修正していく方法を取るのです。

 

修正していく時、

優秀な彼らは

  • なぜ修正が必要なのか
  • 修正することで得られるメリットは何か
  • 修正後にリスクが生じる可能性はあるか

といったことを把握します。

 

かなり抽象度が高い考え方ですが、

優秀な彼らは

これらを自分なりに考えることが

できるのです。

 

そして

修正ポイントをきちんと把握しているので、

次はかなり上手くできます。

 

実は

優秀な人材には

コンセプチュアルスキルが

身についているのです。

 

将来を見通すには、

抽象化と具象化ができるスキルが必要です。

 

コンセプチュアルスキルは

学校の成績とは別です。

 

学校の成績が良い方には

コンセプチュアルスキルがある方が多いです。

 

コンセプチュアルスキルは

学校の成績を上げるのに

大いに役立つからです。

 

ただ、

全員が有名大学に行けるワケではないので

こういったスキルを持つ人がまれに出現する

ということなのです。

 

そして、

自然と身につけた

コンセプチュアルスキルは

未熟な場合が多いです。

 

確かに同年代の方から比較すると

優秀なのですが、

経験から学ぶ部分が欠けているので、

未熟なのです。

 

そこはうまく導いていく必要があります。

 

ただ、余り気を遣う必要がありません。

 

経験をさせ、失敗させ、

上手に反省させて、

経験値を積ませていくことで

成長していきます。

 

失敗を大いに恐れる

官僚的な組織では

若いうちから

経験値を積ませることをしないので

 

結果として優秀な人材が

自分は成長しなくても良いと思い込み

それ以上の成長が止まるのです。

 

3.平凡な人材になるヒマがない中小企業

中小企業は不安定だ、

という認識が学生には強くあります。

 

ですが、優秀な人材ほど

中小企業にターゲットを定める傾向になってきたようです。

 

その方が

「任せてもらえる」から。

 

中小企業には強力な管理者はいません。

ほとんどがプレイングマネージャーだからです。

 

ただ、優秀な人材は、

他との調和は取れません。

 

何故なら、すべての事象のとらえ方が

他の人と異なるからです。

 

ある意味、天才なのかもしれません。

 

だからこそ、

組織の中で浮かないように

周囲との間を取り持つ必要があるかもしれません。

 

優秀な部分を認めつつも、

できていない部分を伸ばし、

認めることで、

 

優秀な人材は勝手にあなたのことを

信頼し、ついてきます。

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優秀な人材は、

リーダーシップやフォロワーシップ

(部下としてのスキル)を

持ち合わせている場合が多いので、

 

とても優秀な部下になりますし、

優秀な上司にもなります。

 

当然、

ダメなところ、どうしてもできないところも

出てきます。

 

人間ですから、完璧はあり得ません。

 

ただ、そういった人材が

集まってくると、

とても良い組織が生まれ、

会社として発展していくのだと

私は考えています。

 

人材作りは組織作りであり、

組織作りは会社作りでもあるのです。

 

会社が人を育て、

人は組織を育て、

組織は会社を育てます。

 

良い循環で回るためにも、

最初は人を育てることから始めるのです。

 

そこに、たまたま優秀な人材が

入社してきたとしても、

その人材もきちんと育てる

組織になる必要があります。

 

そして、それが更に

優秀な人材が集まってくる

会社へと変貌するきっかけにも

なっていくのです。

 

次回は「部下育成の本当のメリットは」

というテーマです。

 

 

それでは、今日はこの辺で。

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