部下を優秀な人材にする教え方講座

部下が優秀だったら・・・そう考えない管理職はおそらくいないでしょう。でも、優秀にする方法がわからない・・・それは、「教え方」を知らないからです。「教え方」は学校では学びません。学んだ方は教育学部でほとんどが学校の先生になります。だから一般企業では「教え方」を学んだ人はほとんどいないのです。さまざまな部下育成法が世の中に出回っているからこそ、オーソドックスだけど着実な手法をブログに書き綴ります。

技術習得時に不要な黒い箱

管理職の部下育成トレーナーの安部です。
皆さん、部下を育成していますか?
部下を育成して、強い会社を創造しましょう!

 

テクニカルスキルを学ばせる時、
3つの必要なものについて、
前回少し触れました。

 

今回は、それらを詳しくお話していきましょう。

 

テクニカルスキルを学ばせる時に必要なもの

 

1.技術体系が必要

新入社員が会社の技術を身につける時、
一番誰でもできそうな簡単な業務からさせるのは
当然なことです。

 

それはどんな業種でも当たり前でしょう。

 

教える側は、その時2種類います。

  • 超ベテラン
  • 入社して2~5年

皆さんが入社した時は、どちらの方々に教えてもらいましたか?

 

そして、技術を身につけている時、ふと疑問に思います。
例えば、
この技術を身につけたら将来どうなるんだろう?
という疑問です。そして質問します。

 

さて、教える側は何と答えるでしょうか。

 

超ベテランの方は往々にして解答を知っています。
ですが、その解答を話すには時間がかかることもわかっています。
何しろ、そのベテランの方が歩んできた道を教える必要もあり、
今眼前の新入社員が理解できるとは到底思えないからです。

 

だから、こう言います。

「今はそんなことを考えなくても良いから、
さっさと技術を覚えろ」と。

 

2~5年目の社員は、
自分たちさえ経験していないことなので、
解答がわかりません。

 

だから、こう言います。

 

「今はそんなことを考えなくても良いから、
さっさと技術を覚えろ」と。

 

人は、自分が行っていることが
世の中に役に立っている、
世の中に仕事を通じて参加している
ということを自覚することで、
自己効力感が育まれます。

 

まだ若い人で、大きな技術の中の一部しか
担当していない状況では、
自己効力感はなかなか実感しづらいです。

 

そこで、現在学習中の技術の全体像を
見せることが必要なのです。

 

今目の前でやっていることが、
技術全体の中でこの部分であり、
その先には○○な技術がある。

 

それを知ることで将来の自分を想定しやすくなるのです。

 

そのために技術体系が必要なのです。

 

技術の全体像が見える事なのです。

 

高度な技術一つ一つを
その場で新入社員に教える必要はありません。

 

技術体系の目的は、
技術習得のルートマップであることです。

 

自分の将来像を見えやすくするのです。

 

それは、今の自分がやっていることは無駄ではない、
明るい将来と繋がっている
とわからせることにもなります。

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2.その技術の後ろ盾となる知識が必要

技術だけを教えれば、
人はひとまず一人前になっていきます。

 

技術はある程度時間をかけ、
繰り返し体得させれば
一応使いこなすことができるようになります。

 

どこまでのレベルを求めるのか
にもよりますが、
それ以上のレベルを求めたり、
応用力を求めたりする場合は、
技術の後ろ盾となる知識を教える必要があります。

 

技術体系も後ろ盾となる知識の一つです。

 

技術だけではなく、
その技術を支える知識、前提となる知識です。

 

専門の大学などを卒業した人は知識はある程度カバーできます。

 

ただ、大学は体系的であっても、
一つ一つの知識が専門化過ぎて、
統合された知識になっていないことも多々あります。

 

業務を行うための知識は
とがった専門知識というより
広範囲な知識を浅くカバーする必要があります。

 

そう言った知識を身につけさせると
今習得している技術が
他のどういった知識で成り立っているのかがわかる
のです。

 

今、ほとんどの業務は
一番最初から作る、といったことは
ほとんどしなくなっていると思っています。

 

例えば、
モーターをつくるにしても
材料の鉄から作る会社は
ほとんどいないでしょう。

 

でも、応用を効かせ新しいモノづくりをする時、
材料の鉄の原材料の配分を変更する
といったことも発想の中に出てくるのは
ちゃんと鉄に関する知識があるからです。

 

例は製造業を主としていますが、
サービス業でも同じです。

 

技術は応用されてナンボです。

 

技術の応用をつけるためには
そのもとになる知識が必要なのです。

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3.技術の理由が必要

それぞれの技術には、
その技術が生まれた背景が存在します。

 

原始時代
矢じりに使う石を細く尖らせる技術は
矢を軽くし遠くに飛ばすためでもあり、
獲物に突き刺さりやすくするためでもあります。

 

すべての技術は
こういった背景があるのです。

 

何かが不足している
その何かを埋めるために
技術は存在しているのですから。

 

ただ、技術書には
そう言った技術が生まれた背景が書かれていない
ということがあります。

 

私の専門だったITの技術書も
書いてある書物はあまり見たことがありませんでした。

 

ですから、そういった内容は、
超ベテランに聞くに限ります。

 

長い年月、
その技術に携わってきた人は
技術の推移を体験してきているはずです。

 

そう言った方々に話をしてもらう機会を作る
というのも一つです。

 

例えば
定年退職した方をお呼びして
講演をしてもらうとか。。。

 

今とは技術そのものが違うかもしれませんが、
今の技術が生まれた背景は
昔の技術の何かが足りなかったからなのです。

 

4.技術はブラックボックス化する

 

今の技術は、
どんな知識を基にし、
どんな技術の足りない部分を補って
生れ出たのか、
ということが本当にわからなくなっています。

例えば、インターネット。

 

インターネット黎明期から携わっている人は
昔の通信速度が遅く、設定が難しかった状況から
今、誰でも速い通信をすぐに利用できる状況になった
経緯を知っているはずです。

でも、今の10代、20代はおそらく知りません。

 

彼らは生まれた時からインターネットがあり、
しかも誰でも簡単に速い通信を利用できたからです。

 

技術が生まれた背景やそれを支える知識を学ばせるのは
現代は技術がブラックボックス化となっているからです。

 

ボタンを押せば
色々な情報が引き出せるWebの世界のように
仕組みがわからなくても
使うことができる状況になっています。

 

これが技術のブラックボックス化です。

 

その技術が使えなくなったら
仕組みがわからないだけに修理もできず、
ただ、困るだけです。

 

応用が利かないという現象です。

 

技術は単純に習得させるだけでなく、
このようにその周りにある技術体系や
技術を支えている知識、
そして、技術が生まれた背景も一緒に習得させること。

 

それが、応用力の利く
新しいモノ・サービスをつくりだす
創造性豊かな社員にさせることができるのです。

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箱を開けると猫がいた( ^ω^)・・・

 

次回は、ヒューマンスキルについてお話ししますね。

それでは、今日はこの辺で。

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