部下を優秀な人材にする教え方講座

部下が優秀だったら・・・そう考えない管理職はおそらくいないでしょう。でも、優秀にする方法がわからない・・・それは、「教え方」を知らないからです。「教え方」は学校では学びません。学んだ方は教育学部でほとんどが学校の先生になります。だから一般企業では「教え方」を学んだ人はほとんどいないのです。さまざまな部下育成法が世の中に出回っているからこそ、オーソドックスだけど着実な手法をブログに書き綴ります。

コツ4:成長した部下の更なる育成法

管理職の部下育成トレーナーの安部です。

皆さん、部下を育成していますか?

部下を育成して、強い会社を創造しましょう!

 

本日は部下育成のための5つのポイントの

4つ目のポイントをお話しします。

 

ポイント4ーーー

最初のステップが完了したら

フォローは段階に応じて減らしていく

 ーーー

 

ぜひ、お読みいただき、ご自身の部署で役立てて

いただければ幸いです。

 

人生100年と言われるようになりました。

昔は55歳定年だったのが、60歳になり、

今は65歳になろうとしています。

 

大学卒で通常22歳、高卒では18歳で

入社してから定年退職するまで

40年を遥かに超えることになりました。

 

今、高卒で入社した人たちが

定年退職する頃には68歳定年、

となっているかもしれません。

 

そうすると会社人生は50年です。

半世紀です。

 

50年も会社で過ごしていれば、

どんな人でも大きな技術の転換期を

迎えることになります。

 

グローバル社会であり、

技術に対して様々な視点から開発が

進んでいる時代だからこそ、

技術革新が10年から20年のスパンで

訪れてきます。

 

ITに関して言えば、

昔「ドッグイヤー」といわれたように

7年くらいで一気に進んでいきます。

 

それらに対応するために

ベテラン社員であっても育成していく

必要が出てきます。

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本日はそんな社員向けの

人材育成についてです。

 

1.新入社員研修しかない会社の弱点とは

 

世の中には新入社員研修もない

企業もありますが、

通常は数日であれ新入社員研修があります。

 

学校を卒業して入社式を経てから

現場に出る前の何日間、

学校形式のような研修を体験します。

 

昔、研修会社の社長さんから聞いた話です。

 

「学校と会社は考え方が全く異なる。

前者は金を払って後者は金をもらって

その場にいるから。

だからこそ、考え方を変えるために

新入社員研修は存在している」

と。

 

確かにそうだと思います。

 

新入社員研修という一つの儀式によって、

自分は学生ではなく社会人になったのだと

感じる瞬間が必要なのです。

 

それには入社式程度の数時間ではなく

数日くらいの時間が必要になると考えています。

 

それまで10数年間しみついてきた

慣習を脱ぎ捨てるのですから、

それなりの時間が必要でしょう。

 

ここでは新入社員研修の話をするつもりはなく、

その後の話です。

 

ある程度の規模の会社であれば、

新入社員研修は、半年後から1年後くらいに

フォローアップ研修を実施します。

 

でも、ここで研修は基本的に途絶えて、

次に社員が受ける研修は

「管理職研修」になるのです。

 

新入社員が管理職になるまで

何年かかりますか?

 

通常であれば、10年以上はかかるでしょう。

 

10年間、社員は何の研修を受けることなく

現場で働き続けることになります。

 

その間に社員はどのようなことを考えるのでしょうか。

今、このブログをお読みになっている

あなたも体験したことです。

どのようなことを考えましたか?

 

まず、入社して3カ月から半年の間。

何もわからず、ひたすら目の前に出された仕事を

こなす日々です。

考えることは一つ。「仕事を覚える」だけです。

 

入社からこの程度の間は、

新しい環境に慣れるので精一杯です。

また、採用してくれた会社に対して

好意を持っている時期です。

だからこそモチベーションがすごく高いのです。

 

中途採用の社員でもそうです。

最初の1日目からモチベーションが

下がりきった人はあまりいません。

 

希望に満ちあふれ、やる気がフルチャージされ、

どんなことでも頑張れそうな気がしています。

 

ですが、3カ月から半年が経ってくると

周りが徐々に見え始めます。

 

こんな先輩社員たちの姿です。

やる気が全然見えない。

愚痴ばかり言っている。

何かあればサボろうとする。

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モチベーションなんてかけらもない

先輩社員の姿を見て彼らは失望します。

 

この会社はこんな会社なのか?と。

 

ここまで酷くなくても

普段のちょっとした先輩社員の言動から

やる気のなさを感じます。

 

それだけではありません。

業種によっては仕事の内容も

徐々にわかってきます。

 

自分が何をすれば良いのか、

彼らなりに「わかった」と思うのです。

 

実は、

彼ら新入社員が「わかる範囲」は

とても狭い範囲なのですが、

それでも、

彼らは「すべてわかった」と思います。

 

正確に言えば、「思い込みます。」

 

何故なら、それしか知らないからです。

 

彼らの世界は、

先輩社員の想像以上に狭いです。

自分が体験したこと、ちらりと見聞きしたことが

中心の狭い世界なのです。

 

それしか知らないので、

それがすべてと考えています。

 

そして、失望感を更に高めます。

「こんなことをするために

この会社に入ったんじゃない」と。

 

そこで「退職」が頭をよぎります。

 

まだ、生涯に1会社という

観念があった時代は

退職の言葉を振り切りながら、

働き続けていました。

 

でも、今はそういう時代ではありません。

 

行動的である人材ほど、

すぐに「退職」していきます。

 

また、彼らの周囲も「退職」を安易に勧めます。

「退職」という言葉を実感していなかった人も

退職を真剣に考え始めるきっかけを持つのです。

 

特に現代社会は人手不足なので、

若い人材であれば、

どこかに再就職が可能でしょう。

 

新入社員のフォローアップ研修が

ちょうど、こう思う時期にあるのは

とても合理的なのです。

 

下げかけたモチベーションをリセットして、

再度会社に対する熱意を持たせることができます。

 

さて、このモチベーションが急激に下がってしまう

危機的な状況を何とか乗り越えて

入社2年目になりました。

 

会社によっては後輩ができます。

 

通常の業務+後輩指導が加わるのです。

そして、周囲の評価も「新入社員」から

「一般社員」という評価に変わります。

 

それまで、わからないことがあったら

何でも教えてくれていた先輩社員たちが

「そんなことも知らないのか?

もう2年目だよね?」と

言ってくるようになります。

 

ちやほやされていた新入社員時代が

終了したのです。

 

第2の危機がこの時期です。

 

周囲の評価が変化することで、

「認められていないのでは?」という

不安を強くします。

 

また、自分たちのための研修は用意されておらず、

内心、未熟だと感じているにも関わらず

一人前扱いされていることに

更に不安を募らせます。

 

それでも、まだ、周囲に恵まれていた

(周囲に尊敬できる上司や先輩がいた、

職場の雰囲気が良く、

チーム全員に好意を抱いているなど)人は、

退職せずに持ちこたえます。

 

ですが、これがずっと10数年続いていくのです。

もし、何らかの理由で

職場の雰囲気が壊れたとしたら。

気が合わない上司の元に異動になったら。

退職への行動を起こしかねません。

 

定期的に研修を行うことは

会社からの一つのメッセージになります。

 

社員一人ひとりを見ていますよ。

というものです。

 

これは、社員に対する「承認」です。

 

人材育成計画、人材開発計画を立て

実行に移していくことは

社員一人ひとりに会社からのメッセージを

伝えていくことなのです。

 

新入社員研修しかない会社は

このメッセージを長期間にわたって

与えないままでいることになります。

 

2.任せるのと放任とは180度違う

 

だからといって、新入社員でもない

社員を一堂に集めて研修を行うのは

大変コストがかかることです。

 

中小企業、特に小規模企業では

このようなコストをかけるのは

辛いところです。

 

何故なら、研修を受ける社員は

「そこそこ」仕事ができる社員であるから。

 

手取り足取り教えなければならない

新入社員とは異なり

「これ、やって」と言えばある程度、

できる社員に研修を行う必要性を感じないのです。

 

必要性を感じていても優先度がとても低く、

他にしなければならないことが多いため、

後回しになってしまうのです。

 

それでも社員を教える必要性を感じた時は、

集合研修という形式を取らず、

OJTという上司や先輩が職場で仕事をしながら

技術を教えるという研修形態をとります。

 

OJTとはOn the Job Trainingの略です。

 

これは一般的にどんな企業でも行われている

レーニング形式です。

 

OJTは日本で古くから利用されている研修方法です。

発祥は昔の徒弟制度と言われています。

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ですが、このOJT

あなたの会社でうまく機能していると

感じていらっしゃいますか?

 

人は「教える」ということを

学校では教わりません。

 

「教え方」を学校で教えてくれるのは

大学の教育学部だけです。

 

なので、OJTで部下や後輩に

教える立場になった人は、

自分が教えられたようにしか

教えることができません。

 

実は、人によって「学び方」の

ポイントは異なります。

 

学校の同じクラスで

同じように教室で

同じ授業を受けても

すぐにできるようになる生徒と

なかなかできない生徒がいたということは

経験上ご存知だと思います。

 

特に高校1年生の1学期では、

その前の入試で

ほぼ同等の学力の生徒が

集まっているにも関わらず、

1学期の学期末で、差が生じます。

 

同じ授業、同じ教え方でも

学ぶ側の受け取り方で

学習の効果が違ってくるのです。

 

それをOJTの場面で当てはめると

あなたが学んだ方法が

そのまま部下や後輩にあうとは言えない、

ということです。

 

教え方が合わないと何度教えても学習しません。

 

ましてや一斉に集める研修は

あと10数年も経たないと実施されません。

 

集合研修の講師は、研修会社の講師など、

基本的にプロが行うので、

教え方を経験則で知っています。

 

ですが、OJTは教え方の素人である、

上司や先輩が教えるので、

効率的に、効果的に学習させることが

かなり難しいのです。

 

その上、上司や先輩にも通常の業務があります。

相手にあわせて教えることが

だんだん面倒になってきます。

 

そこで、「その仕事、お前に任せるから、

自分なりに考えてやってよ」となります。

 

事実、仕事を任せられると

仕事は覚えやすくなります。

 

ただ、「任せる」と「放任」は全く違います。

 

本気でOJTに取り組むつもりなら

「放任」してはいけません。

 

「放任」とは、

保護を受けなければならないレベルの人に

責任も含めてすべて負わせることと

私は定義しています。

 

社員であれば、「保護」という言葉を

「指導」に変えても良いでしょう。

 

それでは上手な任せ方は

どうすれば良いのでしょうか。

 

彼らは何ができて何ができないのでしょうか。

そして、何ができるようになると

一歩先へ進めるのでしょうか。

 

それが学べる業務は何でしょうか。

 

これらを考え、計画を立て、

OJTとして任せていきます。

 

その際、

レベルに応じて任せ方を4段階に分けます。

 

1段階:基本的に任せないやり方

 

一つのことを行うたびにやり方や

成果物の品質チェックを行います。

いうなれば手取り足取りの状態です。

 

2段階:できることを任せます。

 

ただし、頻繁に報告させます。

報告のタイミングは

例えば数日かかる業務であれば、

毎日朝と夕方に報告をさせる、

異常があった場合

(どんな場合が異常なのかを伝えておく)

すぐに報告すること。

 

報告する基準も明確である方が良いです。

この段階までは、全く部下に権限はありません。

全責任は上司にあります。

 

3段階:報告するタイミングをもう少し長期間にする

 

例えば先ほどの業務であれば、

業務を始める前にどのような方法で

業務を進めていくのか計画の報告、

途中の報告も数日程度であれば報告はなしです。

 

そして、最後の業務終了後の報告のみです。

 

もちろん異常事態での報告は必ずさせるようにします。

 

ここで、部下には、

業務遂行に限っての権限を委譲します。

同様にその部分の責任も渡すことになります。

 

4段階:異常事態での報告以外は途中報告はなし

 

事前の計画の報告もありません。

最後に業務が終了したことだけの

報告があればOKなのです。

 

ここでは、その業務全般に対する権限を

委譲し責任もある程度負わせます。

この4段階目に入って何の問題がなければ、

完全に「任せる」という状態に入ります。

 

そうなれば、何の報告も必要ありません。

責任もって業務に従事することができます。

 

部下に対する権限移譲と

責任の負わせ方の度合いは、

責任の負わせ方が

少し少な目にしておくこと

 

つまり、最終的な責任は上司が負うという

形にしておくことが必要です。

 

それが、上司と部下の関係なのですから。

 

3.成長を続ける人材になるためには

 

人は成長し続ける動物だと私は考えています。

 

ですが、たまに「いやー、もう成長は良いかな」

という方に出会います。

 

今まで十分に学んできたから

もう学ぶことはないと断言されるのです。

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すべてよきに計らえ 

 

あなたの会社にも

こういう方はいらっしゃいませんか?

 

私の経験上、ある程度の経験を積んだ

いわゆるベテランと呼ばれる方々に

多い気がします。

 

ですが、厳しいことを言いますが、

そういう方々ほど何もできない、

ということが多いようです。

 

人間国宝だと言われる方々が

本当に良く口にされる言葉があります。

「私なんて、まだまだ。

これからもっともっと○○を極めていきたい」

 

似たような言葉を何度耳にしたことか。

 

人間国宝となる人物であっても成長し続けたい、

と考えているのです。

 

成長したくない、と考える人材は

どうしてできるのでしょうか。

 

私は、

成長しなくても良い、という環境にいるためだ

と考えています。

 

その方が所属している組織が

そういう雰囲気なのです。

 

ある一定以上の年齢に達すれば、

周りの人間が世話をしてくれる役職になる。

 

そうなれば、頑張らなくても大丈夫。

そう感じているのではないでしょうか。

 

でも、例え社長であっても

成長し続ける必要があります。

 

現に、今輝いている企業の社長ほど、

自己研鑽に励んでいます。

 

個別の人材の育成も大事です。

 

ただ、いくつになっても成長し続けることが

重要と考えるのであれば、

組織全体に

人は成長し続けるべきである

といった雰囲気づくりが必要でしょう。

 

周りの方々が成長し続けるような

組織を作っていくことが実は大切なのです。

 

学ぶことが評価される組織です。

学んでできるようになることが

大切と言われる組織です。

 

人は所属している組織に

大変大きな影響を受けます。

 

だからこそ、組織自体が「学ぶ」ことを

大切と思うようにしていくのです。

 

それは簡単です。

 

まずはこのブログをお読みのあなたから

「学ぼうよ」と周りに言うことです。

 

最初は言いやすい部下や後輩からで。

徐々に組織全体に広がっていくようにします。

 

そうすれば、成長し続ける社員がたくさん増え、

会社の業績はアップしていくと考えています。

 

それでは、今日はこの辺で。

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