部下を優秀な人材にする教え方講座

部下が優秀だったら・・・そう考えない管理職はおそらくいないでしょう。でも、優秀にする方法がわからない・・・それは、「教え方」を知らないからです。「教え方」は学校では学びません。学んだ方は教育学部でほとんどが学校の先生になります。だから一般企業では「教え方」を学んだ人はほとんどいないのです。さまざまな部下育成法が世の中に出回っているからこそ、オーソドックスだけど着実な手法をブログに書き綴ります。

コツ3:優秀な部下へ変貌させるには

管理職の部下育成トレーナーの安部です。

皆さん、部下を育成していますか?

 

部下を育成して、強い会社を創造しましょう!

 

今回は部下育成のための5つのポイントの
3つ目のポイントをお話しします。

 

ポイント3

  • やらせること
  • 失敗しても結果は叱ってもプロセスは認めること

 

ぜひ、お読みいただき、
ご自身の部署で役立てていただければ幸いです。

 

今までは、
「できる部下とはどんな人材か」で将来の人材像を作り、
「今眼前の部下はどんな部下か」で現時点での部下の姿を
見つめました。

 

これは、課題解決の手法です。
目標と現実のギャップを埋めることが課題対策には必要です。
そのために、目標を明確にし、現状を明確にする、
これが課題解決のためには必要なのです。

 

ということは、今回が本題である
「優秀な部下の育て方」ということにあたります。

 

さて、優秀な部下に育てるためには……
実は、この部分だけを読んで実行しようとしても
優秀な部下には育ちません。


何しろ、優秀な部下の定義も
現状の把握もできていない状態では、
あなたが考えている優秀な部下には絶対に育ちません。

 

当たり前ですが、
部下は「あなた」ではありません。
あなたの望む人材になることは
はっきり言って不可能です。

 

だからと言って優秀な部下が育たないのか、
というわけではありません。
部下本人の考え方や部下のモチベーションエンジン
(「やる気」の源)を把握し、
一緒に導くことが必須なのです。

1.やってみせ言って聞かせてさせてみて

 

サブタイトルは太平洋戦争時の
海軍元帥の山本五十六が言ったとされている
名言からの抜粋です。

 

当然、直接話を聞いたわけではないのですが、
これは人の育て方の原点かなぁ、
と思える名言だと私は考えています。

 

この続き、ご存知ですか?
「ほめてやらねば、人は動かじ」

 

例えば、仕事のやり方を説明します。
あるいはマニュアルを見せます。

「○○はこうだから、この場合は××してね」

 

失敗すると

「ちゃんと説明したよね?」

 

説明しただけでマニュアルを読んだだけで
できるようになるのであれば、
学校の先生は不要です。

 

「わかる」と「できる」は違うのです。

 

どれくらい違うのかと言えば、
チョモランマと300メートル級の山くらい。

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説明がなければ、
仕事内容の大ざっぱな流れや全体の構造はわかりません。
でも、より具体的な作業内容については、
やっぱりやってみなくてはできないのです。

 

上司や先輩であるあなたは
チョモランマの頂上から部下や後輩を見ています。

 

最初、部下は海岸線にいたのですが、
説明することで、300メートル級の山に登ってきました。

 

でも、まだまだ8,000メートル以上の高さの差があります。
見えている景色も違います。
あなたは遠くまで見えますが、
部下は近くまでしか見えません。

 

やらせてみると当然あなたのようにはできないでしょう。

 

通常、300メートルの山に登るのと
8,000メートルを超える山を登るには
準備が異なります。

 

8,000メートル級の山に登るには
事前に準備がたくさんいりますし、
装備(この場合スキル)もたくさんいります。

 

あなたは今まで時間をかけて
そこまで登ってきたのです。

 

部下がいきなりあなたと同じ山に上ってくるのは
よほどのことがない限りあり得ないでしょう。

 

だからこそ、目の前でやって見せて言って聞かせて
「させてみて」が大事。
目の前でさせてみることで、
どのポイントができないのかが、はっきりします。

 

そのポイントを重点的にできるように
レーニングさせることが大事なのです。

 

こういったことは製造業のライン担当者のような、
今何をやっているのかが
目で見えてわかる職種であれば、
とてもやりやすいでしょう。

 

でも、業種や職種によっては
部下が何をやっているのかが
見えにくいものがあります。

 

例えば、営業職。

 

どの顧客をいつ訪問したのかは
日報で報告があるので概要はつかめます。
でも、どのように商談したのかまではわかりません。
だからといって上司が
ずっとついて回るわけにはいきません。

 

ただ、方法は2つあります。

 

1つ目は、顧客にあなたが直接聞くということ。
顧客とあなたとの関係性が構築できていれば
率直な言葉が返ってくるでしょう。

 

ただ、顧客に聞いても、本当に育成したいポイントを
聞くことは難しいです。
なぜなら、顧客はあなたの部下の育成担当者では
ないからです。

 

2つ目は、
ロールプレイングで営業場面を再現させること。

 

同様の場面を設定したロールプレイングを
社内で実施します。
顧客役を他の社員が担当し、
想定される問いかけや反応をすることで、
それらに対して部下がどのように
反応するのかを確認することができます。

 

上司であるあなたに直接見られていると
普段通りの姿を見せないかもしれませんが、
それでも垣間見ることは可能です。

 

実は、このロールプレイングは
とても良いトレーニング方法だと私は考えています。

 

良く営業職の上司は
「あの顧客は○○タイプだから××のように対処しろ」と
部下に話します。

 

でも、部下にとって○○タイプが
初めて対するタイプであれば、
××のように対処できるかどうかとても不安です。

 

また、経験の浅い営業マンにとっては
様々なタイプにいきなり直面して
失敗してしまうのでは、という不安も
多く抱えています。

 

そこで、事前に経験豊富な上司や先輩が
直面した顧客のタイプを
事前に社内で体験させることが
できるのはとても貴重です。

 

口頭で○○タイプと言われるより、
仮であっても体験した方が
「わかる」から「できる」へ
変貌しやすいでしょう。

 

研修を設計する際、
特に会社内の研修であれば、
「できる」ようになることを
目標にして設計することが重要です。

 

こういったタイプのトレーニングは
研修会社には通常できません。
あなたの会社だからこそできるのです。

 

2.気づかせて見守って認めてみて

 

あなたの部下の中で
もう少し経験を積んだ人たちがいらっしゃるでしょう。
彼らの育成はどうなっていますか?

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新人の育成に手を取られるから
放っているなんてことはありませんか?

 

確かに、上司としての仕事は山のようにあります。
経験を積んでそう失敗をしなくなった
部下まで育成をするのは大変です。

 

また、彼らは新人とは違い
手取り足取り教える必要はありません。
当然ですが。
だからこその教え方があります。

 

「気づかせる」ということです。

 

ここで上司になる時に学ぶコーチングが役立ちます。
コーチングを知らない人でも質問を投げかけると
相手が「ハッ」と何かに気づいた表情をした
経験があるでしょう。
それを行うのです。

 

そのためには2日目、3日目でお話したような
できる部下像を明確にし、
投げかける質問を考えておく必要があります。

 

経験がある部下たちはその経験ゆえ、
自分たちが間違っていないと思っています。
自分の仕事にプライドがあるのです。

 

だからこそ、いきなり頭ごなしで注意しても
聞いてくれません。
むしろ反発されるだけです。

 

状況をちょっと確認したいだけ……
といった雰囲気を出しながら、
質問を重ねることで悩みや迷いが
見えてきます。

 

それに対してアドバイスではなく
どのように対処するつもりか
尋ねてみるのです。

 

人間は問われるとその答えを
反射的に考えてしまいます。
考えることで答えが見つかるのです。
これがコーチングです。

 

完全に対処方法を見失っている場合は
アドバイスを求めてくるでしょう。
そうであれば、アドバイスをしましょう。
その際はちゃんと聞く耳を持ってくれています。

 

まあ、部下の言う対処方法が「微妙……」と
思ってしまうこともあるでしょう。
でも、それが大変なトラブルを引き起こさない
限りさせてみるのも一つの手です。

 

「見守る」のです。

 

見守るのには本当に忍耐が必要です。
心の中では心配でハラハラしています。
それをグッとこらえてひたすら見守るのです。

 

忍耐しかそこには存在しません。

 

実は、子育てをした社員はこの「見守る」のが
上手です。
幼い子どもを育てるのも忍耐が必要なので、
子育てをした社員が
自然と身につけるスキルなのでしょう。

 

そして、部下が自分の思った対処方法で
成功したのであれば、
「認める」のです。
良くやったと。

 

人はほめて育てると言われますが、
ほめるよりは「認める」方が効果があります。
認めるにはほめると違い、
人格ではなくその人のアウトプットを認めます。

 

認められた側は、アウトプットであるがゆえに
素直に受け止めることができるのです。

 

人格をいきなりほめられても
照れくささが先に立ち
素直に受け止められなくても、
仕事が成功した事実を
上司から承認されるのは素直に喜べるでしょう。

 

また、
上司も「ほめる」のが苦手という人もいます。

 

ですが、
仕事上で完遂した事実を「できた!」と
認めるのはそれほどハードルが高くないです。
ですから、ほめるのが苦手と思っている人ほど
「認める」ことをやって欲しいのです。

 

ただ、結果が出せなかった場合もあるでしょう。
それどころか失敗してしまった、
という場合も考えられます。

 

そういった場合の対処方法も
事前に考えておく必要があります。

 

未熟な部下が自分のやり方でやったので
当然、失敗する確率が高いでしょう。

 

その際、結果に対する
「叱り」は必ずするべきです。

 

失敗したことで被った様々な損害。
金銭的なものだけではなく
他のメンバーが失敗の対処をしたこと
お客様にかけた迷惑、
ちゃんと理解させることが重要です。

 

そして、失敗した原因を
必ず突き止め再発防止を行うこと。
これが、失敗から学ぶ「育成法」です。
ここは重要な「気づき」に
つながらせる必要があります。

 

更に、
上司として対処すべきなのが、
失敗した社員に再度挑戦させる
チャンスを与えること。

 

失敗したから二度とさせない
というのはナンセンスです。
失敗したからこそ、
充分に失敗した原因を理解したからこそ
次のチャンスには挑戦させるべきなのです。

 

「あいつはあの時失敗したからダメなヤツだ」
というレッテルは絶対に貼ってはいけません。

 

上司といえども
あなたもサラリーマンであり、
更に上の上司から評価される立場にあるので
失敗を重ねることは
とても心配になると思います。

 

ですが、
そこは十分に対策を講じながら
慎重に行っていくことで防ぐことができます。

 

失敗した次に成功をした部下は
必ず想定以上に成長します。
そして、
必ずあなたの大切な右腕となって
活躍してくれるでしょう。

 

3.性格は変えられるのか

 

ここまで、部下の知識や技術の向上に
ついて話をしてきました。
これからは「態度」についてお話しします。

 

例えば、遅刻の常習犯である部下。

 

「性格がずぼらだから遅刻をするんだ!
ずぼらな性格をどうにかしろ!」
と言っても、
どうにもならなかったという
経験はありませんか?

 

ずぼらな性格だから諦めていませんか?

 

暗い性格の営業マン。

雑な性格の経理担当者。

片づけできない性格の在庫管理担当者。

態度の悪いIT担当者(笑)。

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性格がそもそも
この仕事に向いていないんだ
ということになっていませんか?
性格だから無理ということになっていませんか?

 

本当に無理なのでしょうか?

本当に性格は変えられないのでしょうか?

 

世の中には話下手な営業マンが
優秀な成績を収めたという話が
たくさん転がっています。

 

性格には長所と短所があります。
実は、長所に対して視点を変えると
短所になります。
短所に対して視点を変えると長所になります。
これは経験則でわかっています。

 

暗い性格の人はマジメである、
コツコツ仕事に取り組む
といったことが往々にしてあります。

 

暗くてもマジメさをアピールして
顧客に信頼され、
営業成績を伸ばすことだってあるのです。

 

だからこそ、
性格は視点を変えると変えられます。

 

また、性格自体、
たくさんの経験を積むことで
徐々に変化することもあり得ます。

 

若い頃は人見知りが強かったが、
年齢を経ていくうちに見知らぬ人でも
話せるようになったという方も多いです。

 

経験上、見知らぬ人でも話すきっかけ作りが
上手になっていき
会話ができるスキルが身についたからです。

 

性格がその業務を行う上で
好ましくないと思っていては
先に進みません。

 

その性格だからこそその業務を
ワンランクアップして行えるようにするために
どんなスキルを身につけさせるのか
と考えるようにするのです。

 

私の経験を話せば、
雑な事務担当者に別の雑な事務担当者を
ペアにしました。

 

雑レベルや雑さ加減が異なる二人だったことから
お互いにチェックしあうことで
事務的ミスが大幅に削減されたのです。

 

しかも、それぞれの業務を共有したことで
作業の効率化も図れるようになりました。

 

性格を直すのは可能です。
その性格に対する視点を変えて
活用できないかと考えることが重要なのです。

 

そして、活用するために
必要なスキルを身につけさせるのです。

 

それでは、今日はこの辺で。

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